東京都はどの都市よりも、一人暮らしと呼ばれる単身世帯の比率が多くなっています。大学や専門学校などが多いため、地方から東京に出てくる若い年齢層が多いことも要因となっていますが、同時に独身の方が多いのも事実でしょう。東京で就職をして、そのまま歳を重ねていくケースが増えています。結婚して家庭を持つ方もいますが、現代はあえて独身を選ぶ方も多くいます。よって、どうしても独身者の割合が高くなります。以前であれば、一人で外食をすることはハードルが高く、わりと気軽に入ることができるお店も、ラーメン店や牛丼チェーン店のようなところがほとんどでした。男性は気にせず入ることができても、女性によっては一人というだけで入店しづらいケースも多かったようです。
しかし、現代では「おひとり様」と呼ばれる方々をどれだけ顧客として取り込めるか、どの業界でも考えられています。おひとり様の多くを独身者と位置付けていることが多く、自分のためにお金を使える層だからです。自分への労わりやご褒美にお金を使うことをおしまないため、財布の紐が緩いと思われています。東京にいくと、一人で行動しても違和感なく、楽しめるお店も多いのはこのためなのでしょう。
当然、外食産業をけん引する立場である焼肉店にもこの傾向は見られます。焼肉といえば、これまで大勢で賑やかに食事をするイメージがありました。がっつり食べる、焼肉食べ放題が人気のあったことも記憶に新しいでしょう。現在でも焼肉食べ放題は人気がありますが、以前に比べると肉質にもこだわりを持って、程度のいい肉が登場しています。そのため、以前の焼肉食べ放題と比べてもややお値段は高め。それでも人気があるのは、支持する層が多いからでしょう。
東京の焼肉店では近年、おひとり様でも気軽に入店できる店が増えており、そのためカウンター席を準備している店が多くなってきました。カウンター席は基本、おひとり様もしくは2名で利用することが多く、3名以上で利用する場合は店側がテーブル席を勧めるケースが大半を占めます。このように、最初からおひとり様もしくはカップルや親しい間柄の人々が来店することを予想して座席を設けていると思われます。そのせいか、カウンター席のある店は人気があり、おひとり様がリピートするケースが増えているとのこと。これまでの焼肉店は一人ではいきづらいという概念を覆してくれる店が続々と登場しています。
もちろん、それでも大半の客層は2人以上の場合が多いため、全席数の2割程度をカウンター席にしていることが多く、基本はテーブル席や個室となっています。さらに、居心地のよさを追求している店が多いため、隣のテーブルとの距離も取ってあり、会話はよほど大きな声でなければ聞こえることもありません。店のコンセプトによって変わってきますが、おひとり様の来店を設定している東京の焼肉店はだいたいこのような座席配置となっています。
このような店はお値段もかなり高いのでは?と思われますが、そこは企業努力によってかなり抑えられているのが事実です。しかし、店としてのプライドがあるため、提供するメニューには手を抜くこともありませんし、こだわりを持っています。いわゆる、コストパフォーマンスの高いお店と呼ばれる店がありますが、まさにその部類に入るといえるでしょう。私たちがお金を使うとき、多くの方は金額と見合ったサービスや食事内容が提供されているかどうかで、店のお得度を判定します。あまりにも高いお値段であれば、内容が優れていることは当然ですし、安いのであれば内容はそこそこ、我慢する要因も多いとなるでしょう。しかし、おひとり様にも目を向けている東京の焼肉店の場合は、よくこの値段でこのメニューを提供できるなと関心させられるコストパフォーマンスの優れたお店ばかりとなっています。